順番が覚えられない!編
第3回
今回のは、覚え方の工夫について解説します。前に覚えたはずの動きだけど少しちがうな…足だけでなく手や方向も同時に覚えなきゃ…など、レッスンが進むとまた新たな問題発生にならないように。また、なっても解決できるように。覚え方のコツもう少し深堀してみます。
③ 覚え方のルールは?
動きやポーズが増えた時にもしっかり区別できるように
自分のスタンダードの形をこれと決めて、イレギュラーの時にその部分だけを置き換えられるようにすると良いと思います。
例えば
A 横方向のバットマンは後ろから出たら前にしまう。
B 手のポジションは右手、左手の順で覚える。
C クロワゼドゥバンのポーズは方向8番、右足を前方向に、右手アラスゴンド、左手アンオー
と言う様に
パターン違いがある場合よく出てくる形や覚えやすい形を「スタンダード」と決めておきます。
A,B,Cの自分ルールがあるとしたら
A アッサンブレ・ドゥシュが出てきたときはアッサンブレとだけ覚えればよく、アッサンブレ・ドゥスゥが出てきたときにだけ、前足を横にバットマンとかイレギュラーだと考えればよくなります。
B 左右の手をそれぞれ違うポジションある手を覚えるのに、アンオー・アラスゴンド(上・横)だけでは、動きの中や向きが変わっても混乱することはありません。いつも右手、左手の順に記憶するルールがあるからです。
C クロワゼドゥバンはこういうポーズだと決めておけば、動きの中で右足がどうで、左手がここで…と考えずにクロ前(クロワゼドゥバンの私ルールの略です。)アッサンブレだ、クロ前デブロッペだ、だけで済みます。また、今回は手が反対パターンだ、だけで済みます。
クラスレベルが進むと、急に覚えにくくなるとか、踊りの振付になると急に覚えが悪くなる、などの人は自分ルールをしっかり固めてみて下さい。パやポジションは無限ではありません。限られたパやポジションを違った組み合わせをすることが、無限にあるように見えているだけなのです。
④ 覚えやすい方法は?
誰もが明日には簡単に覚えられるようになる方法があったら良いですが、そうはいきません…覚えられないという嘆きに、今すぐできなくて良いよ、まちがっても恥ずかしくないしペナルティもないよ、レッスンは順番覚えることじゃないよ、と私はよく言っています。覚えられないことにマイナス意識の強い方は本当に多いです。知識が増える、繰り返す、たくさん反復する。どれも必要ですが…抜け出したかったら
とにかく頭の中をシンプルでクリアにする。
ここまでお伝えしてきた通り、工夫したり整理しながら、考えなくてはならない事を減らさなくてはなりません。バレエ用語も正確にたくさん覚えたほうがもちろんスムーズですが、覚えやすい言葉に置き換えたって良いと思います。
ここでは私の指導経験から。覚えられない、早く覚えられるようになりたいと言われ、じゃあこれやってみてと言って、一生懸命取り組んで下さった結果、あっという間に覚え上手さんになったやり方をお伝えします。
私 今日のレッスンで1番良く覚えている曲について書いてみて。今度見せて下さいね。
生徒さん 次のレッスンにさっそく持ってきてくださいます。
私 ・・・暗号?呪文?? それにここら辺はほとんど真っ白!?
でも私は、この生徒さんはこれがトンベ・パ・ド・ブレだとわかっているのね、でもこのパの名前は知らないのね、とその方の進度がよくわかります。そして、これはどういう意味?ここはこうゆう風に書いてみたら?とチェックを入れてまたやってみて下さいね。と言います。
そこからは早いです。生徒さんはノートを書くぞとなってレッスンを受けているので、この前書けなかった動きがでてきたぞ!これはシソンヌか、よし忘れずに書くぞ。となって私からのノートのダメ出しはどんどん減っていきます。
バレエノートを書いてくださっている方はたくさんいらっしゃいます。順番を覚えるためではない人も、誰にも見せられないという人も、毎回ではないけど気になったらこっそりメモという人も、みんなそれぞれ中身も全然ちがいます。でも、書いている方に共通するのは
書ける→わかっている
書けない→わからない。覚え方が見つかっていない。
と言うこと。どこがわかっていて、わからない部分が何なのかわかるのは一歩前進。書けることが増えると、呪文状態だったものがどんどん整頓されていきます。
ノートに書こう
さっそくチャレンジして下さるという方にポイントをお伝えしますのでお役立てください。
横並びにカウント(8ずつ区切るとよいです。)
縦並びに 方向、パ(動きの名前)、ポーズ(その動きを何の形で行うか)、手のポジションや上体の動き、補足(進行方向やアクセントや通り道などの補足)
1 | 2 | 3 | 4 |
方1 | 方3 | ||
アッサンブレ | スュッス | プリエストゥーニュ | ピケ |
アラスゴンド | エファッセドゥバン | 第1アラベスク | |
横アロンジェ | アンナバン | ||
ジャンプ | 着地5番プリエ |
の様に、カウント1の中でなにをしているかは下をたどればわかります。流れは横をたどればわかります。
必要なマスを埋めていきます。バレエ用語でも、数字でも、イラストでも、あだ名でも…自分ルールで大丈夫です。最初は空白も多いかもしれませんが、埋まる頃には順番の覚えは格段によくなっているはずですよ。
当スタジオにはノートの達人がいらっしゃいます。長年ノートは工夫され続け、イラストや→など誰が見てもわかる美しいノート術を身につけていらっしゃいます。私の振付ノートとは比べ物にならないクオリティ…もちろんその方も覚えられないと嘆いたひとり。今はたくさんの用語を知っていますし、順番を覚えることに混乱もしません。
目的はスムーズに順番を覚えるということ。自分の頭が整理され、自分が覚えやすくなれば良いのです。
まとめ
バレエ用語を一つも知らない、動きがどんなかもわからない、いくつの動きでできているのかもわからない、どこまで続いているのかもわからない…では覚えられないのは当たり前。
知っている が増えれば増えるほど覚えるのは簡単になる。
まずは今日のレッスンからひとつ 知っている をつくってください。
頭の中を整理して、覚える方法を見つけてください。
本来レッスンは覚える練習をしているわけではないので、順番を早く正確に覚えられるようになることで、音楽やアドバイスや身体の動かし方や注意点などを考えられる、頭の中のスペースが空けられますように…
もちろん、可能な限りノートチェック承ります